日: 2024年8月13日

2024年08月13日-6 花粉情報

夏は花粉症の皆さんの症状がほとんどない季節です。私共はその理由を夏の天気が原因と思っていました。しかし、飛散する花粉が大変少ないことが、過去3年夏にも花粉の観測を続けたことで判明しました。夏は虫媒花が多く、虫媒花は花粉を小さくかつ大量に産生する必要がないようです。夏に症状が悪化する方は、花粉以外の原因、例えばクーラーの影響や動物、食べ物などに注意を払う必要がありそうです。しかし、8月も半ばを過ぎますと、天気の変化が大きく、夏の影響が出て体力的にきつくなります。また、8月下旬には秋の花粉の飛散が始まり、秋の花粉症シーズンが到来しますので、鼻アレルギー症状が悪化する方は、室内塵、カビ他に、花粉に対する注意も払って欲しいと思います。


2024年08月13日-5 花粉情報

佐橋 紀男先生から、「日照時間が昨年や過去10年平均より少ないことから来春の予測は少ないとのことですが、注目したいです。これから雄花のチェックを開始して、昨年と着花状況を比較したいと思います。とのお返事をいただきました。また、富里の昨日までのデータをいただきました。まだブタクサ、カナムグラ、ヨモギは0個でした。

当地でも現在、ブタクサ、カナムグラ、ヨモギは0個です。昨年は、いずれも9月で、ブタクサは9/11〜17の週、カナムグラは9/4〜10の週、ヨモギは9/18〜24の週が初観測でした。


2024年08月13日-4 花粉情報

観測総数(個/cm2/週:2020〜2024年)

時期 7/12〜 7/19〜 7/26〜 8/2〜 8/9〜 8/16〜 8/23〜
観測数 2020 0.9 1.5 2.1 2.4 0.6 3.1 1.5
2021 2.1 4.9 4.3 0.9 0.6 1.2 2.8
2022 0.9 1.5 0.6 1.5 1.8 1.8 1.2
  2023 5.2 0.9 1.5 0.6 1.5 18 1.2
  2024 4.0 1.2 2.8 3.4 3.1    

この時期のアレルギー症状は花粉もさることながら、乾燥、寒暖差などの刺激や室内塵のアレルギーに注意する必要があります。この時期に症状が悪化する方は、気候変動やクーラーの影響あるいは動物、食べ物などにも注意を払う必要があります。また、そろそろ室内塵アレルギー(とりわけダニアレルギー)の季節です。ご注意下さい。


2024年08月13日-3 花粉情報

7/16から8/15間の日照時間の総計は、翌年のスギ、ヒノキ花粉飛散数によく比例すると言われています。 そこで、本年も積算値を当HPで、報告致します。

 (7月31日までの日照時間の積算値は、118.6時間でした。)

 (8月1日から12日までの日照時間の積算値は80.3時間でした。7月16日からの積算値は199.1時間でした。)

昨年の812日の日照時間は8.2時間でした。7月16日から8月12日までの日照時間の加算値は263.6時間でした。

マスコミでは連日猛暑の報道が続いています。しかし、日照時間を昨年と比較しますと、昨年より今年の方が、約60時間以上短く推移しています。このまま、日照時間が短いと、「来春は今春より、スギ花粉は少ないと見なすことになります。」

日照時間の過去10年の平均値は、7月後半87.3時間、8月前半97.7時間、スギ飛散花粉数3567個/cm2でした。今年は、過去10年平均よりは長く、昨年よりも短く推移しています。ちなみに、今年春のスギ花粉飛散数は6300.2個/cm2でしたので、10年平均の1.76倍でした。


2024年08月13日-2 花粉情報

8月、日々の天気(気象庁:東京)

  降雨量(mm) 平均気温 日照時間 天気概況
3日 29.4 8.9  晴れ一時曇り
4日 30.0 10.0 晴れ
5日 30.0 7.8 曇り〜晴れ
6日 29.9 1.8 曇り
7日 76.5 28.9 4.6 曇り一時晴れのち大雨
8日 0.0 28.1 4.0 晴れ時々曇り
9日 30.0 8.6 晴れ一時曇り
10日 30.0 8.6 晴れ時々曇り
11日 31.5 10.7 晴れ一時薄曇り
12日 31.2 11.6 晴れ

2024年08月13日-1 花粉情報

花粉の観測は、ある薬剤の花粉症に対する効果を臨床試験によって評価してほしいと製薬会社から依頼され、必要に駆られて始めました。引き受けるからには、学問的にも臨床的にも適切な方法で実施しようと考えました。しかし、その時期(卒後5年)花粉症に対する試験手法すらありませんでした。そこで、第1歩が花粉観測でした。対象が花粉症の場合、花粉の飛散数が明確でなければ、症例の吸入量も不明で、薬剤の的確な評価はできません。そこで、先ず花粉観測方法の検討から開始しました。簡便で誤差の小さな方法でなければ、継続して実施することすらできませんので、ダーラム法(落下法)を用い、観測条件が一定でなければ、薬剤の評価に役立たないと考え、ダーラム型花粉捕集器は、自宅3階屋上に設置しました。設置位置は40年以上変えていません。測定時間も30年以上午後11時にプレパラートの交換と決めていました。ここ数年体力の衰えから交換時刻を午後11時から10時に変更しました。私自身の能力を高め、測定精度を一定にするため、2年(2シーズン)は試験シーズンに費やしました。さて、始終存在して持続的に症状のある通年性アレルギーであれば、従来のように薬剤を投与して、どれだけ症状が抑えられるかを評価すれば良いのですが、花粉症の場合は花粉が飛散していない季節には症状がなく・花粉飛散期に吸入された花粉数に応じて悪化します。そこで、花粉飛散期前から薬剤を投与して飛散期の症状がどれだけ抑えられるかを客観的に評価する方法をとりました。つまり、花粉飛散期前から薬剤を投与(半数は偽薬)、その薬剤によって飛散期の症状悪化がどれだけ防止できるかを群間比較して評価する試験としました。花粉測定と日々の症状を把握するための記録帳(アレルギー日記)を考案して、プロトコールも新たに考案して、それらを用いて、依頼された薬剤の評価をしました。そのため、最初のお話から、成績が出るまで、3年もの時間を費やしました。しかし、その後この方法が試験法として、標準的となり、今日まで続いていることは喜ばしい限りです。