日: 2025年1月22日

2025年01月22日-3 花粉情報

花粉症対策について

花粉症の対策については、多くの自治体のHPなどで、公表されています。ですが、これらは、花粉症の皆様に、どの位読まれ、どの位理解されているのでしょうか?対策は、どの程度知られ、どの程度実行されているかについての報告は、ほとんど目にすることがありません。たとえば、南極観測船の建造予定が中止になり、科学技術省の研究費が他の研究に振り分けられることになり、この研究費を用いた科学研究が公募により、実施されたことがあります。この研究費は、公募、審査を経て実現しました。そして、平成8年から平成15年まで7年間の調査、研究(スギ花粉症克服に向けた総合研究)を経て、計1000ページ以上にも及ぶ報告書が提出されています。この報告書には、現在医療の最前線で実施、実行されている対策の多くの基礎的研究の成果が記されています。しかしながら、これらの研究の成果が広く一般の皆様に、伝わっているとは言い難く、大変残念に思っているのは、私だけではないように思います。

具体的には、花粉症の発症には、遺伝素因のほかに、環境の影響が大きく、環境の改善は急務であること、抗原(花粉)を吸入しなければ発症しないので、花粉の吸入防止が予防上最も大切であること、免疫療法(減感作)は、根治に至ることはないが、臨床的根治が望める唯一の治療であること、スギには花粉の表面にオービクルと呼ばれる花粉よりはるかに小さな粒子が存在し、現存するマスクでは、オービクルの吸入防止には役立たないので今後工夫が必要なことなどが、判明しています。さて、この季節の対応策については、この報告書にも様々な提言がなされていますが、今日までに、提言通りに、対策や治療が出来ているかと言うと、残念と言わざるを得ない状況です。

アレルギー治療の出来不出来は、先手(予防対策)が取れるか否かにかかっています。専門医を早めに受診して欲しいと思います。


2025年01月22日-2 花粉情報

私は東京慈恵会医科大学を昭和47年に卒業後、直ちに耳鼻咽喉科学教室(主任:故高橋 良名誉教授)に入局、耳鼻咽喉科医となり、入局して直ぐに附属第3病院勤務を命ぜられ、耳鼻科全般を故樋崎 亨助教授にそして兼子 順男講師(現保谷市東伏見にて開業)のご指導により、花粉の観測を始めましたのは、昭和59年でした。そして当院のHPは、下記のように始まりました。毎年1月1日からスギ花粉飛散終了まで毎日観測、当初、結果の通知は電話で通知するという面倒な作業から始まり、続いて郵送で送りました。PCを導入後は、1997年2月1日に慈恵医大耳鼻科の花粉症のページを開設(担当:故今井 透先生)、連日発信、更新して参りました(下記参照)。今日まで41シーズンのデータをお送りいたしました。令和2年から年間を通じて、観測を続け、情報発信しております。年間を通じて観測することによって、新たな知見が数多く見出されており、年間を通じた観測の必要性を痛感しています。しかし、私も今年で78歳になり、体力的に厳しくなってまいりましたので、今シーズンから1月は週1回、2月1日から飛散終了まではスギ、ヒノキ花粉飛散情報として毎日、以後は週1回花粉情報として、観測結果をお届けいたします。「患者様は吸入防止対策に、医療関係者の皆様は、飛散状況を根拠にした診断、治療」にご活用下さい。飛散花粉数は花粉症治療の根拠であり、治療の拠り所でなければならないと考えています。


2025年01月22日-1 花粉情報

数日前に、東京都で「スギ花粉が飛散開始した」とのニュースが流れ、本日はあたかも花粉症が始まったかの如く、診察風景が某テレビ局から放映されました。しかし、当地ではスギ花粉は飛散開始していません。東京都では都内12地点で花粉観測を行なっていますが、花粉情報協会が規定した飛散開始の規定をクリアしたのは、1地点(大田)のみであり、しかも開始したとされる地点でも、翌日から11日間スギ花粉は観測されていません。当然、他の11地点もほぼ0個/cm2です。スギ花粉の飛散量も飛散開始の時期も気候の影響を受けますが、大量飛散が予想されるからと言って、飛散開始が早くなることもありません。

そして、現在花粉症様症状を訴えて来院される患者様が増えていると思いますが、ほとんどの患者様が乾燥冷気による乾燥性鼻前庭炎、乾燥性鼻炎です。スギ花粉症とは症状が異なり、「鼻水、鼻づまり」であり、花粉症は「くしゃみ、鼻水」が主な症状です。乾燥性鼻前庭炎、乾燥性鼻炎に抗ヒスタミン剤を投与するとかえって悪化したり、感染性ならば治りません。症状のみで診断するのは危険です。ぜひ、検査をして正しい診断の基に治療をしてほしいと考えます。ご注意下さい。