日: 2025年1月17日

2025年01月17日-12 花粉情報

本日ネットで(日テレNEWS NNN)、「東京都によりますと、今月8日、都内の観測地点でスギ花粉の飛散を確認したということです。 これは、調査を始めた1985年以来、もっとも早い飛散の開始だといいます。」とでましたが、東京都の発表は、若干誤解を生みます、開始したのは大田のみです。

飛散開始とは、「1月以降に、1平方センチメートルあたり1個以上のスギ花粉を2日以上連続して観測した最初の日が、その観測地点の飛散開始日」となります(日本花粉学会「花粉情報等標準化委員会」の決定事項)。

つまり、当地の初観測は、1月7日です。そして、東京で最も早い飛散開始は2月3日(2014年)ですので、もっとも早い飛散の開始では、ないと思われます。


2025年01月17日-11 花粉情報

昨年暮に環境省からスギ雄花花芽調査結果が発表になりました。東京都周辺の状況は、以下の通りです。

スギ雄花花芽調査結果(環境省HPより抜粋:令和6年12月26日発表)

都道府県 令和6年度

雄花花芽調査結果

過去10年平均値

(個/cm2)

過去10年平均値

との比較(%)

茨城県 6956 5829 119
栃木県 5441 4268 127
群馬県 6738 6436 105
埼玉県 6308 5887 107
東京都 3985 5589 71
神奈川県 12357 8568 144
千葉県 9903 5643 175

(令和6年度)

当地に飛来する花粉の主な発生源と考えられる地域は、軒並み過去10年平均の100%を超えていました。例えば、「スギ花粉症克服に向けた総合研究:文部科学省・総合班長:宮本 昭正先生」によれば、群馬県の赤城周辺および埼玉県で発生した花粉は、風に乗って奥多摩を横切り、多摩川に沿って、東京の城南地区に飛来することを人工衛星画像の解析から確認しています。スギ花粉の発生する季節の気象条件を考えると納得できると思います。


2025年01月17日-10 花粉情報

観測結果(個/cm2/日: 2025年)

観測期間 スギ ヒノキ その他 自動
1/17 0.0 0.0 0.0 ――
1月計 5.8 0.0 1.8 ――

本日の測定結果、落下法ではスギ花0.0個/cm2、ヒノキ花粉0.0個/cm2、その他の花粉0.0個/cm2でした。

今月はじめは落下花粉0.0個/cm2の日が6日続いていましたが、「雨が降ると、その後花粉が飛ぶ」の例え通り。6日の雨の後、7日に1.5個/cm2、9日には2.8個/cm2のスギ花粉が観測されました。飛散開始かと思われましたが、10日は、スギ花粉0.6個で最も早い飛散開始とはなりませんでした。14日は、その他の花粉が0.3個/cm2.観測されました。この花粉はカツラによく似ていますが、カツラはカツラ科カツラ属の落葉高木で、花期は3〜5月とのことです。似たような花粉かも知れません。15日は、午後1時に15.1℃をきろくしました。花粉発生源(群馬、埼玉)も気温が高く、北寄りの風なら花粉が飛散すると思います。思った通り、スギ花粉0.6個/cm2観測されました。本日は、晴れましたが北寄りの風がやや強く(6〜4m/s)吹き、プレパラートの汚れが目立ち、気温も正午の9.6度が最高で、スギ花粉は0.0個/cm2でした、

2004年以来、1月5日までにスギ花粉が初観測されたのは、12回あり、4日が初観測は2004年1年のみ、5日初観測も2019年のみです。6日初観測も2013年のみ、昨年の初観測は、1月6日でした。今年は、7日ですが、7日が初観測なのは、初めてです。


2025年01月17日-9 花粉情報

佐橋 紀男先生(花粉情報協会:理事・事務局長)から新たなデータをいただきました。

富里市  2025年   空中花粉調査票

 ダーラム型(個/cm2)
1月 スギ1) ヒノキ2) イチイ属 ハンノキ属 シデ属 マツ属3) イネ科 スゲ属 その他
1 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.3
2 0.5 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.3 0.0 0.0
4 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.3 0.0 0.0 0.0
5 0.6 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
6 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.3
7 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
8 0.6 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
9 1.5 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.3
10 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
11 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
12 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.3
13 0.0 0.0 0.0 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
14 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
15 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
16 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

 

習志野市     2025年    空中花粉調査票

1月 スギ1) ヒノキ2) イチイ属 ハンノキ属 シデ属 マツ属3) イネ科 スゲ属 その他
1 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
3 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
4 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
5 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
6 0.6 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
7 2.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
8 1.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
9 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.9
10 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
11 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
12 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
13 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
14 0.6 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
15 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

習志野市は1月7日が飛散開始日となります。


2025年01月17日-8 花粉情報

当地のスギ花粉飛散状況(飛散開始日、最高飛散日、飛散終了日)

年度 飛散開始日 最高飛散日 飛散終了日 日数
H13(2001) 2月20日 2月21日 4月25日 65
H14(2002) 2月7日 2月7日 4月12日 65
H15(2003) 2月12日 2月13日 5月 1日 79
H16(2004) 2月20日 2月26日 4月19日 60
H17(2005) 2月22日 2月23日 5月 5日 73
H18(2006) 2月13日 2月15日 4月26日 73
H19(2007) 2月6日 2月13日 4月15日 69
H20(2008) 2月20日 2月23日 4月22日 63
H21(2009) 2月6日 2月12日 4月27日 81
H22(2010) 2月9日 2月21日 4月16日 67
H23(2011) 2月22日 2月25日 5月 4日 72
H24(2012) 2月26日 3月4日 4月25日 60
H25(2013) 2月14日 2月22日 4月13日 59
H26(2014) 2月3日 3月4日 4月24日 81
H27(2015) 2月11日 2月23日 4月20日 69
H28(2016) 2月14日 2月21日 4月17日 64
H29(2017) 2月16日 2月17日 4月26日 70
H30(2018) 2月10日 2月24日 4月26日 70
H31(2019) 2月12日 2月20日 5月5日 83
R2(2020) 2月5日 2月13日 4月6日 62
R3(2021) 2月11日 2月14日 4月15日 64
R4(2022) 2月26日 2月27日 4月24日 58
R5(2023) 2月12日 2月18日 4月24日 72
R6(2024) 2月13日 2月15 日 4月23日 70

飛散開始日は全て2月中、飛散終了は大半が4月中、飛散期は最大83日(2019年)、最小58日(2022年)、平均68.4日で、飛散期間は2ケ月強です。


2025年01月17日-7 花粉情報

前年夏の気温(今年は記録的猛暑)と翌年のスギ花粉飛散数の比較からも、今シーズンは多くの飛散が推測されます。

7 8 9 平均 翌春の花粉数
2024 28.7 29.0 26.6 28.2
2023 28.7 29.2 26.7 28.2 5271
2022 27.4 27.5 24.4 26.4 6636
2021 25.9 27.4 22.3 25.2 3839
2020 24.3 29.1 24.2 25.9 3913
2019 24.1 28.4 25.1 25.9 2466
2018 28.3 28.1 22.9 26.4 4868
2017 27.3 26.4 22.8 25.5 4164
2016 25.4 27.1 24.4 25.6 2271
2015 26.2 26.7 22.6 25.2 3516
2014 26.8 27.7 23.2 25.9 2694
2013 27.3 29.2 25.2 27.2 1300
2012 26.4 29.1 26.2 27.2 6406
2011 27.3 27.5 25.1 26.6 1971
2010 28.0 29.6 25.1 27.6 9624

2025年01月17日-6 花粉情報

スギ花粉飛散開始日(積算400到達日)の予測

元旦からの一日の最高気温を積算した積算値で、スギ花粉飛散開始の目安に用いられます。当地では、平均440〜480位が飛散開始の目安です。飛散開始日の予測は、あくまで予測ですから、予測日に必ず飛散開始となるわけではありません。あくまで目安です。従いまして、初期療法は、予測される飛散開始日の3〜7日前に開始すれば、患者様が苦しむことなく実施できます。また、飛散開始日から全ての患者様を苦しめるほどの花粉が飛散することは、必ずしも多くはありません。つまり、飛散開始したら、しばらく様子を見てから投薬しても間に合わないことはありません。

日付 1日の最高気温 最高気温の積算値
1月1日 12.2 12.2
2日 13.9 26.1
3日 7.6 33.7
4日 9.6 43.3
5日 10.0 53.3
6日                        8.1 61.4
7日 12.9 74.3
8日 12.3 86.6
9日 12.7 99.3
10日 9.4 108.7
11日 11.3 120.0
12日 9.0 129.0
13日 13.4 142.4
14日 12.8 155.2
15日 15.6 170.8
16日 7.7 178.5

今年は15日までの積算値は178℃でした。昨年(184.9℃)より、6.9℃低く推移しています。このまま気温が推移しますと、ことしは昨年とほぼ同じ日に飛散開始すると推定されます。


2025年01月17日-5 花粉情報

今年の東京の飛散開始は日本気象協会の予想(2023年12月7日発表)では、2月中旬です。当地の過去の飛散開始日は、表の通りです。

スギ花粉飛散開始日(積算400到達日)

H23(2011) 2月22日(2月12日)
H24(2012) 2月26日(2月17日)
H25(2013) 2月14日(2月9日)
H26(2014) 2月3日(2月7日)
H27(2015) 2月11日(2月10日)
H28(2016) 2月14日(2月8日)
H29(2017) 2月16日(2月6日)
H30(2018) 2月10日(2月12日)
H31(2019) 2月12日(2月7日)
R2(2020) 2月5日(2月5日)
R3(2021) 2月11日(2月6日)
R4(2022) 2月26日(2月12日)
R5(2023) 2月12日(2月8日)
R6(2024) 2月12日(2月3日)

積算温度とは、元旦からの一日の最高気温を積算した積算値のことで、スギ花粉飛散開始の目安に用いられます。ちなみに当地では、平均440〜480が飛散開始の目安です。

飛散開始日の定義:1月以降に、1平方センチメートルあたり1個以上のスギ花粉を2日以上連続して観測した最初の日が、その観測地点の飛散開始日となります(日本花粉学会「花粉情報等標準化委員会」の決定事項)。


2025年01月17日-4 花粉情報

初観測日

年 度 初観測日 年 度 初観測日
2025 1月7日 2014年 1月26日
2024年 1月06日 2013年 1月02日
2023年 1月06日 2012年 1月02日
2022年 1月01日 2011年 1月02日
2021年 1月02日 2010年 1月03日
2020年 1月18日 2009年 1月21日
2019年 1月05日 2008年 1月11日
2018年 1月02日 2007年 1月10日
2017年 1月03日 2006年 1月22日
2016年 1月19日 2005年 1月03日
2015年 1月11日 2004年 1月04日

2022年には、スギ花粉が元旦早々に初観測日となりました。花粉観測を元旦から毎日測定するようにしたのは2004年からです。上表に示しましたように、2日が初観測の年は5年ありましたが、元旦がスギ花粉の初観測日となるのは、2004年以来2022年がはじめてです。3日が初観測日となったのは3年(2005,2010,2017)あり、4日が初は2004年のみでした。5日は2019年、6日は2023年のみでした。本年は、1月7日が初観測日となります。7日初観測は他にありません。10日は2007年の1年、11日は2年(2008.2015)でした。飛散開始は、まだです。


2025年01月17日-3 花粉情報

昨日も晴れて、スギ花粉が観測されました。気温は低く、一時曇りました。本日は晴れますます乾燥しそうです。乾燥による鼻炎は、花粉症とよく似ています。間違ってアレルギー薬を摂取すると、かえって悪化します。是非、耳鼻科医にご相談下さい。このところ最小湿度は、31、21、14、22、26、46、30、32、32、36%と乾燥した日が続いています。気温も次第に低下しています。乾燥による呼吸粘膜の障害にご注意下さい。

このHPは、1997年2月1日に『慈恵医大耳鼻科花粉症のページ(PH担当:故今井 透先生、花粉観測担当:遠藤 朝彦)』として、開設され、2014年1月7日までに561万件のアクセスがありました。その後、遠藤、今井両医師が慈恵医大を定年退職したため、HPを「東京都の耳鼻科医による花粉症のページ」と改称(HP担当:永倉仁史先生、花粉観測担当:遠藤 朝彦)として継続、2017年12月1日から当院の「花粉症のページ」として継続(HP担当:遠藤 朝彦、花粉観測担当:遠藤 朝彦)と受け継がれています。当HPは昨年末までで、41年になります。今年は42シーズン目となります。ご担当の皆様、今後とも、よろしくお願い申し上げます。

開設から2024年末までのアクセス数は、以下の通りです。また、昨日(16日)のアクセス数は、429件、今年の通算は9168件でした。

2024年 109200(2024年末まで:計886562件)

2023年 123200

2022年 105100

2021年 127000

2020年 137400

2019年 141000

2018年 143200

2017年   462

測定地点は、東京都品川区内です。


2025年01月17日-2 花粉情報

花粉症は文字通り、花粉が原因(抗原)のアレルギーによる疾患です。花粉が人体のアレルギー反応の場に到達(侵入)するところから始まります。反応の場は、主に気道粘膜です。経鼻(吸気とともに吸入)、経口(呼吸、食事など)、経皮(花粉症では起こりにくい)などの経路で侵入し、花粉が侵入すると、アレルギー体質(遺伝的に素因のある人)の人は、原因となる花粉と特異的に反応して抗体を産生、その抗体と再び侵入した花粉(抗原)が、反応(抗原抗体反応)する所からスタートします。その後は、免疫能、呼吸機能、粘膜機能、さらには気道の形態などにおける複雑な反応の結果、アレルギー症状が発現します。以上の反応が起こったり、起らなかったりするのは、遺伝体質の他に、大気、食生活などの環境が関わりますので、大きな個人差があります。また、反応の結果現れるアレルギー症状は、関わる花粉ごと、また吸入される量(花粉数)に左右されます。花粉症はこのような起こり方をしますので、「抗原となる花粉が大気中にどのくらい存在するか?」は、治療の成否を決定づけるほど重要です。にも関わらず、本邦において花粉観測が十分になされているかというと、十分とは言い難く、単独で診断を決定づける診断法があるかというと、無いと言わざるを得ません。そのため完治は困難で、免疫療法のみが臨床的治癒が望み得るというのが、限界、現状です。医療現場では、花粉の飛散状況をリアルタイムに知ることは、極めて大事なことと考えます。しかしながら、花粉の観測、鑑別は必ずしも容易ではありません。実際に臨床の場で、花粉症治療に携わる医療関係者に、飛散情報が十分届いているかというと、不十分と言わざるを得ません。このような貴重かつ重要な花粉観測が、臨床検査として認められることもなく、また健康保険の適用がないのは、不思議と言わざるを得ません。

花粉症の治療は、吸入防止(抗原回避)を行いつつ薬の服用(対症的)、免疫療法(臨床的根治が望めます)、 ゾレア(抗体(IgE)を中和する注射による)治療がです。アレルギー検査(IgE抗体)の上投与量が決まります。 シーズン中に内服、点鼻などで治療しても重症以上の方に、適応がありますが、やや高価です。

当院の花粉情報は、このような考えから,発しています。是非、参考にして下さい。


2025年01月17日-1 花粉情報

私は東京慈恵会医科大学を卒後直ちに耳鼻咽喉科医となり、第3病院勤務の時に兼子 順男先生(保谷市東伏見)のご指導により、花粉の観測を始めましたのは、昭和59年でした。そして当院のHPは、下記のように始まりました。毎年1月1日からスギ花粉飛散終了まで毎日、当初、結果の通知は郵送でした。PCを導入後は連日発信、更新して参りました。今日まで41シーズンのデータをお送りいたしました。令和2年から年間を通じて、観測を続け、情報発信しております。年間を通じて観測することによって、新たな知見が数多く見出されており、年間を通じた観測の必要性を痛感しています。しかし、私も今年で78歳になり、体力的に厳しくなってまいりましたので、今シーズンから1月は週1回、2月1日から飛散終了まではスギ、ヒノキ花粉飛散情報として毎日、以後は週1回花粉情報として、観測結果をお届けいたします。患者様は吸入防止対策に、医療関係者の皆様は、飛散状況を根拠にした診断、治療にご活用下さい。