日: 2025年1月16日

2025年01月16日-10 花粉情報

佐橋 紀男先生から1月の富里および習志野のデータをいただきました。

富里市(ロータリー型)では、1月1日(0.6個)、習志野市(ロータリー型)でも1月1日(0.3個)に初観測であったようです。両市とも2〜3日には、スギ、ヒノキを含めて花粉は、観測されていないようです。


2025年01月16日-9 花粉情報

佐橋 紀男先生(花粉情報協会:理事・事務局長)から「神栄の自動花粉捕集器を当院に設置(1月中)して下さる」とのお知らせをいただきました。当院には令和4年まで自動花粉捕集器(KH3000)が設置されていました。ところが、令和4年後半に製造元が倒産してしまい、メンテナンスができず、以後計測不可になってしまいました。今回、佐橋 紀男先生のご好意により、復活できそうです。佐橋 紀男先生および花粉情報協会の皆様には、心から感謝いたします。自動計測器は1月中に設置予定との連絡をいただきました。


2025年01月16日-8 花粉情報

スギ花粉の飛散する条件

当地について申し上げるなら以下の様になります。当地(品川区西五反田)は東京都の区部の南に位置し、五反田は品川区の北部に位置します。東京都には、3518の公園や緑地があり、そのうち211が品川区にあります。東京都は国土交通省の資料によれば令和1年時点における東京の都市公園数は3954か所で全国6位、また都市公園の総面積でいうと3137haで全国7位になっています。決して、コンクリートジャングルではありません。とはいえ、スギの木は、ほとんどの公園緑地には植林されておりません。近隣にスギ、ヒノキがないにも関わらず、多くの花粉が飛来するのは、何故でしようか?スギの花粉は、風によって運ばれますが、その距離は、数10〜数100Kmと言われています。例えば、条件が合えば、群馬県の赤城山周辺の花粉が当地に届くことが、日本気象協会が人工衛星の画像を解析して判明しています。

(1)晴れて暖かい:スギの雄花は気温が上がると開花しやすくなります。また、上昇気流に乗って上空に舞い上がります。15℃以上の時は要注意。

(2)風が強い:スギの花粉は形30〜40ミクロン、ヒノキはさらに小さく30ミクロン以下、軽量なため、風に乗って運ばれる風媒花です。花粉は風に乗って(数十キロ以上)運ばれます。

(3)乾燥している:開花期は当地では2月中旬から〜4月半ばですが、この軸は大気が極端に乾燥すると時期です。そのため遠方まで飛散します。


2025年01月16日-7 花粉情報

観測結果(個/cm2/日: 2025年) 

観測期間 スギ ヒノキ その他 自動
1/16 0.3 0.0 0.0 ――
1月計 5.8 0.0 1.8 ――

本日の測定結果、落下法ではスギ花0.3個/cm2、ヒノキ花粉0.0個/cm2、その他の花粉0.0個/cm2でした。

今月はじめは落下花粉0.0個/cm2の日が6日続いていましたが、「雨が降ると、その後花粉が飛ぶ」の例え通り。6日の雨の後、7日に1.5個/cm2、9日には2.8個/cm2のスギ花粉が観測されました。飛散開始かと思われましたが、10日は、スギ花粉0.6個で最も早い飛散開始とはなりませんでした。その他の花粉は、ヒマラヤスギと思われます。14日は、その他の花粉が0.3個/cm2.観測されました。この花粉はカツラによく似ていますが、カツラはカツラ科カツラ属の落葉高木で、花期は3〜5月とのことです。似たような花粉かも知れません。15日は、午後1時に15.1℃を記録しました。花粉発生源(群馬、埼玉)も気温が高く、北寄りの風なら花粉が飛散すると思います。思った通り、スギ花粉0.6個/cm2観測されました。本日は、スギ花粉0.3個/cm2観測されました。気温は低かったのですが、やや強い風が吹いたからかも知れません。

2004年以来、1月5日までにスギ花粉が初観測されたのは、12回あり、4日が初観測は2004年1年のみ、5日初観測も2019年のみです。6日初観測も2013年のみ、昨年の初観測は、1月6日でした。今年は、7日ですが、7日が初観測なのは、初めてです。


2025年01月16日-6 花粉情報

当HPで用いる用語について

初観測日:花粉情報協会の規定によると、「1月1日以降、ダーラム法(又はロータリー法)で計測視野内に1個でも花粉が観測された最初の日です。」と規定されています。

飛散開始日とは、『1㎠メートルあたり1個以上のスギ花粉を2日連続して観測した最初の日』と定義されています。

花粉飛散情報で、「多い」「非常に多い」などの情報をTVその他で皆さんは目や耳にしていると思います。これらの意味が具体的にお判りの方はどれほどおられるでしょうか?この基準は、日本アレルギー協会がダーラム法(落下法)によるスギ花粉の測定値とスギ花粉症の方の症状から作成した基準です。

飛散レベル(落下法)について

観測花粉数(個/cm2・日) レベル
10個未満 少ない
10〜30個未満 やや多い
30〜50個未満 多い
50〜100個未満 非常に多い
100個以上 極めて多い

本HPでもスギ花粉の飛散レベルを表現するときはこの基準に従います。今後、基準の見直しが行われます。将来、変わる可能性があります。

当地のスギ花粉飛散状況(飛散開始日、最高飛散日、飛散終了日)

年度 飛散開始日 最高飛散日 飛散終了日 日数
H13(2001) 2月20日 2月21日 4月25日 65
H14(2002) 2月7日 2月7日 4月12日 65
H15(2003) 2月12日 2月13日 5月 1日 79
H16(2004) 2月20日 2月26日 4月19日 60
H17(2005) 2月22日 2月23日 5月 5日 73
H18(2006) 2月13日 2月15日 4月26日 73
H19(2007) 2月6日 2月13日 4月15日 69
H20(2008) 2月20日 2月23日 4月22日 63
H21(2009) 2月6日 2月12日 4月27日 81
H22(2010) 2月9日 2月21日 4月16日 67
H23(2011) 2月22日 2月25日 5月 4日 72
H24(2012) 2月26日 3月4日 4月25日 60
H25(2013) 2月14日 2月22日 4月13日 59
H26(2014) 2月3日 3月4日 4月24日 81
H27(2015) 2月11日 2月23日 4月20日 69
H28(2016) 2月14日 2月21日 4月17日 64
H29(2017) 2月16日 2月17日 4月26日 70
H30(2018) 2月10日 2月24日 4月26日 70
H31(2019) 2月12日 2月20日 5月5日 83
R2(2020) 2月5日 2月13日 4月6日 62
R3(2021) 2月11日 2月14日 4月15日 64
R4(2022) 2月26日 2月27日 4月24日 58
R5(2023) 2月12日 2月18日 4月24日 72
R6(2024) 2月13日 2月15 日 4月23日 70

飛散開始日は全て2月中、飛散終了は大半が4月中、飛散期は最大83日(2019年)、最小58日(2022年)、平均68.4日で、飛散期間は2ケ月強です。


2025年01月16日-5 花粉情報

スギ花粉飛散開始日(積算400到達日)の予測

元旦からの一日の最高気温を積算した積算値で、スギ花粉飛散開始の目安に用いられます。当地では、平均440〜480位が飛散開始の目安です。飛散開始日の予測は、あくまで予測ですから、予測日に必ず飛散開始となるわけではありません。あくまで目安です。従いまして、初期療法は、予測される飛散開始日の3〜7日前に開始すれば、患者様が苦しむことなく実施できます。また、飛散開始日から全ての患者様を苦しめるほどの花粉が飛散することは、必ずしも多くはありません。つまり、飛散開始したら、しばらく様子を見てから投薬しても間に合わないことはありません。

日付 1日の最高気温 最高気温の積算値
1月1日 12.2 12.2
2日 13.9 26.1
3日 7.6 33.7
4日 9.6 43.3
5日 10.0 53.3
6日                        8.1 61.4
7日 12.9 74.3
8日 12.3 86.6
9日 12.7 99.3
10日 9.4 108.7
11日 11.3 120.0
12日 9.0 129.0
13日 13.4 142.4
14日 12.8 155.2
15日 15.6 170.8

今年は15日までの積算値は170.8℃でした。昨年(177.9℃)より、7.1℃低く推移しています。このまま気温が低く推移すると、ことしは昨年より1日飛散開始が遅くなると推定されます。


2025年01月16日-4 花粉情報

今年の東京の飛散開始は日本気象協会の予想(2023年12月7日発表)では、2月中旬です。当地の過去の飛散開始日は、表の通りです。

スギ花粉飛散開始日(積算400到達日)

H23(2011) 2月22日(2月12日)
H24(2012) 2月26日(2月17日)
H25(2013) 2月14日(2月9日)
H26(2014) 2月3日(2月7日)
H27(2015) 2月11日(2月10日)
H28(2016) 2月14日(2月8日)
H29(2017) 2月16日(2月6日)
H30(2018) 2月10日(2月12日)
H31(2019) 2月12日(2月7日)
R2(2020) 2月5日(2月5日)
R3(2021) 2月11日(2月6日)
R4(2022) 2月26日(2月12日)
R5(2023) 2月12日(2月8日)
R6(2024) 2月12日(2月3日)

積算温度とは、元旦からの一日の最高気温を積算した積算値のことで、スギ花粉飛散開始の目安に用いられます。ちなみに当地では、平均440〜480が飛散開始の目安です。

飛散開始日の定義:1月以降に、1平方センチメートルあたり1個以上のスギ花粉を2日以上連続して観測した最初の日が、その観測地点の飛散開始日となります(日本花粉学会「花粉情報等標準化委員会」の決定事項)。


2025年01月16日-3 花粉情報

初観測日

年 度 初観測日 年 度 初観測日
2025 1月7日 2014年 1月26日
2024年 1月06日 2013年 1月02日
2023年 1月06日 2012年 1月02日
2022年 1月01日 2011年 1月02日
2021年 1月02日 2010年 1月03日
2020年 1月18日 2009年 1月21日
2019年 1月05日 2008年 1月11日
2018年 1月02日 2007年 1月10日
2017年 1月03日 2006年 1月22日
2016年 1月19日 2005年 1月03日
2015年 1月11日 2004年 1月04日

2022年には、スギ花粉が元旦早々に初観測日となりました。花粉観測を元旦から毎日測定するようにしたのは2004年からです。上表に示しましたように、2日が初観測の年は5年ありましたが、元旦がスギ花粉の初観測日となるのは、2004年以来2022年がはじめてです。3日が初観測日となったのは3年(2005,2010,2017)あり、4日が初は2004年のみでした。5日は2019年、6日は2023年のみでした。本年は、1月7日が初観測日となります。7日初観測は他にありません。10日は2007年の1年、11日は2年(2008.2015)でした。飛散開始は、まだです。


2025年01月16日-2 花粉情報

昨日、晴れて、5日ぶりにスギ花粉が観測されました。気温が高かったかからと考えられます。本日は曇りで雨は降っていませんが、変わらず大気は乾燥しています。乾燥による鼻炎は、花粉症とよく似ています。間違ってアレルギー薬を摂取すると、かえって悪化します。是非、耳鼻科医にご相談下さい。このところ最小湿度は、31、21、14、22、26、46、30、32、32%と乾燥した日が続いています。気温も次第に低下しています。乾燥による呼吸粘膜の障害にご注意下さい。

このHPは、1997年2月1日に『慈恵医大耳鼻科花粉症のページ(PH担当:故今井 透先生、花粉観測担当:遠藤 朝彦)』として、開設され、2014年1月7日までに561万件のアクセスがありました。その後、遠藤、今井両医師が慈恵医大を定年退職したため、HPを「東京都の耳鼻科医による花粉症のページ」と改称(HP担当:永倉仁史先生、花粉観測担当:遠藤 朝彦)として継続、2017年12月1日から当院の「花粉症のページ」として継続(HP担当:遠藤 朝彦、花粉観測担当:遠藤 朝彦)と受け継がれています。当HPは昨年末までで、41年になります。今年は42シーズン目となります。ご担当の皆様、今後とも、よろしくお願い申し上げます。開設から2024年末までのアクセス数は、以下の通りです。また、昨日(14日)のアクセス数は、905件、今年の通算は8916件でした。

2024年 109200(2024年末まで:計886562件)

2023年 123200

2022年 105100

2021年 127000

2020年 137400

2019年 141000

2018年 143200

2017年   462

測定地点は、東京都品川区内です。


2025年01月16日-1 花粉情報

私が慈恵医大で兼子 順男先生(保谷市東伏見)のご指導により、花粉の観測を始めたのは、昭和59年でした。そして当院のHPは、下記のように始まりました。毎年11日からスギ花粉飛散終了まで毎日、当初、結果の通知は郵送でした。PCを導入後は連日発信、更新して参りました。今日まで41シーズンのデータをお送りいたしました。令和2年から年間を通じて、観測を続け、情報発信しております。年間を通じて観測することによって、新たな知見が数多く見出されており、年間を通じた観測の必要性を痛感しています。しかし、私も今年で78歳になり、体力的に厳しくなってまいりましたので、今シーズンから1月は週1回、21日から飛散終了まではスギ、ヒノキ花粉飛散情報として毎日、以後は週1回花粉情報として、観測結果をお届けいたします。患者様は吸入防止対策に、医療関係者の皆様は、飛散状況を根拠にした診断、治療にご活用下さい。