2025年01月14日-11 花粉情報
本日、アレルギー様症状が発現して、花粉症を心配して来院された方が、数名します。この時期は、大気が乾燥するだけでなく、暖房の種類によって室内も極端に乾燥していると考えられる方が、続いています。現在、当地では、スギ花粉は飛散しておりません。また、この陽気では、ダニも成長しません。したがって、アレルギーよりも気象(温度差、乾燥など)または暖房による乾燥が影響した乾燥性鼻炎と思われますので、ご注意下さい。
本日、アレルギー様症状が発現して、花粉症を心配して来院された方が、数名します。この時期は、大気が乾燥するだけでなく、暖房の種類によって室内も極端に乾燥していると考えられる方が、続いています。現在、当地では、スギ花粉は飛散しておりません。また、この陽気では、ダニも成長しません。したがって、アレルギーよりも気象(温度差、乾燥など)または暖房による乾燥が影響した乾燥性鼻炎と思われますので、ご注意下さい。
佐橋 紀男先生(花粉情報協会:理事・事務局長)から「神栄の自動花粉捕集器を当院に設置(1月中)して下さる」とのお知らせをいただきました。当院には令和4年まで自動花粉捕集器(KH3000)が設置されていました。ところが、令和4年後半に製造元が倒産してしまい、メンテナンスができず、以後計測不可になってしまいました。今回、佐橋 紀男先生のご好意により、復活できそうです。佐橋 紀男先生および花粉情報協会の皆様には、心から感謝いたします。自動計測器は1月中に設置予定との連絡をいただきました。
どのような時に、スギ花粉の大量飛散を予測しなければならないか、この点について以下のことを知っておいていただきたいと思います。
飛散量が増える条件とは
観測結果(個/cm2/日: 2025年)
観測期間 | スギ | ヒノキ | その他 | 自動 |
1/14 | 0.0 | 0.0 | 0.3 | ―― |
1月計 | 4.9 | 0.0 | 1.8 | ―― |
本日の測定結果、落下法ではスギ花0.0個/cm2、ヒノキ花粉0.0個/cm2、その他の花粉0.3個/cm2でした。
今月はじめは落下花粉0.0個/cm2の日が6日続いていましたが、「雨が降ると、その後花粉が飛ぶ」の例え通り。6日の雨の後、7日に1.5個/cm2、9日には2.8個/cm2のスギ花粉が観測されました。10日は、スギ花粉0.6個で最も早い飛散開始とはなりませんでした。10日のその他の花粉は、ヒマラヤスギと思われます。本日は、その他の花粉が0.3個/cm2.観測されました。この花粉はカツラによく似ていますが、カツラはカツラ科カツラ属の落葉高木で、花期は3〜5月とのことです。似たような花粉かも知れません。
2004年以来、1月5日までにスギ花粉が初観測されたのは、12回あり、4日が初観測は2004年1年のみ、5日初観測も2019年のみです。6日初観測も2013年のみ、昨年の初観測は、1月6日でした。今年は、7日ですが、7日が初観測なのは、初めてです。
当HPで用いる用語について
初観測日:花粉情報協会の規定によると、「1月1日以降、ダーラム法(又はロータリー法)で計測視野内に1個でも花粉が観測された最初の日です。」と規定されています。
飛散開始日とは、『1㎠メートルあたり1個以上のスギ花粉を2日連続して観測した最初の日』と定義されています。
花粉飛散情報で、「多い」「非常に多い」などの情報をTVその他で皆さんは目や耳にしていると思います。これらの意味が具体的にお判りの方はどれほどおられるでしょうか?この基準は、日本アレルギー協会がダーラム法(落下法)によるスギ花粉の測定値とスギ花粉症の方の症状から作成した基準です。
飛散レベル(落下法)について
観測花粉数(個/cm2・日) | レベル |
10個未満 | 少ない |
10〜30個未満 | やや多い |
30〜50個未満 | 多い |
50〜100個未満 | 非常に多い |
100個以上 | 極めて多い |
本HPでもスギ花粉の飛散レベルを表現するときはこの基準に従います。今後、基準の見直しが行われます。将来、変わる可能性があります。
当地のスギ花粉飛散状況(飛散開始日、最高飛散日、飛散終了日)
年度 | 飛散開始日 | 最高飛散日 | 飛散終了日 | 日数 |
H13(2001) | 2月20日 | 2月21日 | 4月25日 | 65 |
H14(2002) | 2月7日 | 2月7日 | 4月12日 | 65 |
H15(2003) | 2月12日 | 2月13日 | 5月 1日 | 79 |
H16(2004) | 2月20日 | 2月26日 | 4月19日 | 60 |
H17(2005) | 2月22日 | 2月23日 | 5月 5日 | 73 |
H18(2006) | 2月13日 | 2月15日 | 4月26日 | 73 |
H19(2007) | 2月6日 | 2月13日 | 4月15日 | 69 |
H20(2008) | 2月20日 | 2月23日 | 4月22日 | 63 |
H21(2009) | 2月6日 | 2月12日 | 4月27日 | 81 |
H22(2010) | 2月9日 | 2月21日 | 4月16日 | 67 |
H23(2011) | 2月22日 | 2月25日 | 5月 4日 | 72 |
H24(2012) | 2月26日 | 3月4日 | 4月25日 | 60 |
H25(2013) | 2月14日 | 2月22日 | 4月13日 | 59 |
H26(2014) | 2月3日 | 3月4日 | 4月24日 | 81 |
H27(2015) | 2月11日 | 2月23日 | 4月20日 | 69 |
H28(2016) | 2月14日 | 2月21日 | 4月17日 | 64 |
H29(2017) | 2月16日 | 2月17日 | 4月26日 | 70 |
H30(2018) | 2月10日 | 2月24日 | 4月26日 | 70 |
H31(2019) | 2月12日 | 2月20日 | 5月5日 | 83 |
R2(2020) | 2月5日 | 2月13日 | 4月6日 | 62 |
R3(2021) | 2月11日 | 2月14日 | 4月15日 | 64 |
R4(2022) | 2月26日 | 2月27日 | 4月24日 | 58 |
R5(2023) | 2月12日 | 2月18日 | 4月24日 | 72 |
R6(2024) | 2月13日 | 2月15 日 | 4月23日 | 70 |
飛散開始日は全て2月中、飛散終了は大半が4月中、飛散期は最大83日(2019年)、最小58日(2022年)、平均68.4日で、飛散期間は2ケ月強です。
スギ花粉飛散開始日(積算400℃到達日)の予測
元旦からの一日の最高気温を積算した積算値で、スギ花粉飛散開始の目安に用いられます。当地では、平均440〜480℃位が飛散開始の目安です。飛散開始日の予測は、あくまで予測ですから、予測日に必ず飛散開始となるわけではありません。あくまで目安です。従いまして、初期療法は、予測される飛散開始日の3〜7日前に開始すれば、患者様が苦しむことなく実施できます。また、飛散開始日から全ての患者様を苦しめるほどの花粉が飛散することは、必ずしも多くはありません。つまり、飛散開始したら、しばらく様子を見てから投薬しても間に合わないことはありません。
日付 | 1日の最高気温 | 最高気温の積算値 |
1月1日 | 12.2 | 12.2 |
2日 | 13.9 | 26.1 |
3日 | 7.6 | 33.7 |
4日 | 9.6 | 43.3 |
5日 | 10.0 | 53.3 |
6日 | 8.1 | 61.4 |
7日 | 12.9 | 74.3 |
8日 | 12.3 | 86.6 |
9日 | 12.7 | 99.3 |
10日 | 9.4 | 108.7 |
11日 | 11.3 | 120.0 |
12日 | 9.0 | 129.0 |
13日 | 13.4 | 142.4 |
今年は12日までの積算値は142.4℃でした。昨年(156.0℃)より、13.6℃低く推移しています。
今年の東京の飛散開始は日本気象協会の予想(2023年12月7日発表)では、2月中旬です。当地の過去の飛散開始日は、表の通りです。
スギ花粉飛散開始日(積算400℃到達日)
H23(2011) | 2月22日(2月12日) |
H24(2012) | 2月26日(2月17日) |
H25(2013) | 2月14日(2月9日) |
H26(2014) | 2月3日(2月7日) |
H27(2015) | 2月11日(2月10日) |
H28(2016) | 2月14日(2月8日) |
H29(2017) | 2月16日(2月6日) |
H30(2018) | 2月10日(2月12日) |
H31(2019) | 2月12日(2月7日) |
R2(2020) | 2月5日(2月5日) |
R3(2021) | 2月11日(2月6日) |
R4(2022) | 2月26日(2月12日) |
R5(2023) | 2月12日(2月8日) |
R6(2024) | 2月12日(2月3日) |
積算温度とは、元旦からの一日の最高気温を積算した積算値のことで、スギ花粉飛散開始の目安に用いられます。ちなみに当地では、平均440〜480℃位が飛散開始の目安です。
飛散開始日の定義:1月以降に、1平方センチメートルあたり1個以上のスギ花粉を2日以上連続して観測した最初の日が、その観測地点の飛散開始日となります(日本花粉学会「花粉情報等標準化委員会」の決定事項)。
初観測日
年 度 | 初観測日 | 年 度 | 初観測日 |
2025年 | 1月7日 | 2014年 | 1月26日 |
2024年 | 1月06日 | 2013年 | 1月02日 |
2023年 | 1月06日 | 2012年 | 1月02日 |
2022年 | 1月01日 | 2011年 | 1月02日 |
2021年 | 1月02日 | 2010年 | 1月03日 |
2020年 | 1月18日 | 2009年 | 1月21日 |
2019年 | 1月05日 | 2008年 | 1月11日 |
2018年 | 1月02日 | 2007年 | 1月10日 |
2017年 | 1月03日 | 2006年 | 1月22日 |
2016年 | 1月19日 | 2005年 | 1月03日 |
2015年 | 1月11日 | 2004年 | 1月04日 |
2022年には、スギ花粉が元旦早々に初観測日となりました。花粉観測を元旦から毎日測定するようにしたのは2004年からです。上表に示しましたように、2日が初観測の年は5年ありましたが、元旦がスギ花粉の初観測日となるのは、2004年以来2022年がはじめてです。3日が初観測日となったのは3年(2005,2010,2017)あり、4日が初は2004年のみでした。5日は2019年、6日は2023年のみでした。本年は、1月7日が初観測日となります。7日初観測は他にありません。10日は2007年の1年、11日は2年(2008.2015)でした。
昨日は午前中はほぼ曇りでした。予報で心配された雨も雪も降りませんでした。午後からよく晴れ、本日も朝から晴れて、以後は晴れがつづきました。大気が極端に乾燥しています。
このところ最小湿度は、31、21、14、22、26、46、30%と乾燥したまま、推移しました。気温も次第に低下しています。乾燥による呼吸粘膜の障害にご注意下さい。
このHPは、1997年2月1日に『慈恵医大耳鼻科花粉症のページ(PH担当:故今井 透先生、花粉観測担当:遠藤 朝彦)』として、開設され、2014年1月7日までに561万件のアクセスがありました。その後、遠藤、今井両医師が慈恵医大を定年退職したため、HPを「東京都の耳鼻科医による花粉症のページ」と改称(HP担当:永倉仁史先生、花粉観測担当:遠藤 朝彦)として継続、2017年12月1日から当院の「花粉症のページ」として継続(HP担当:遠藤 朝彦、花粉観測担当:遠藤 朝彦)と受け継がれています。当HPは昨年末までで、41年になります。今年は42シーズン目となります。ご担当の皆様、今後とも、よろしくお願い申し上げます。
開設から2024年末までのアクエス数は、以下の通りです。また、昨日(10日)のアクセス数は、658件、今年の通算は5601件でした。
2024年 109200(2024年末まで:計886562件)
2023年 123200
2022年 105100
2021年 127000
2020年 137400
2019年 141000
2018年 143200
2017年 462
測定地点は、東京都品川区内の当院屋上です。
花粉症は文字通り、花粉が原因(抗原)のアレルギーによる疾患です。花粉が人体のアレルギー反応の場に到達(侵入)するところから始まります。反応の場は、主に気道粘膜です。経鼻(吸気とともに吸入)、経口(呼吸、食事など)、経皮(花粉症では起こりにくい)などの経路で侵入し、花粉が侵入すると、アレルギー体質(遺伝的に素因のある人)の人は、原因となる花粉と特異的に反応して抗体を産生、その抗体と再び侵入した花粉(抗原)が、反応(抗原抗体反応)する所からスタートします。その後は、免疫能、呼吸機能、粘膜機能、さらには気道の形態などにおける複雑な反応の結果、アレルギー症状が発現します。以上の反応が人が起こったり、起らなかったりするのは、遺伝体質の他に、大気などの環境が関わりますので、大きな個人差があります。また、反応の結果現れるアレルギー症状は、関わる花粉ごと、また吸入される量(花粉数)に左右されます。花粉症はこのような起こり方をしますので、「抗原となる花粉が大気中にどのくらい存在するか?」は、治療の成否を決定づけるほど重要です。にも関わらず、本邦において花粉観測が十分になされているかというと、十分とは言い難く、単独で診断を決定づける診断法があるかというと、無いと言わざるを得ず、そのため完治は可能かというと、免疫療法ならば臨床的治癒が望み得るというのが、限界です。医療現場では、花粉の飛散状況をリアルタイムに知ることは、極めて大事なことと、考えます。しかしながら、花粉の観測、鑑別は必ずしも容易ではありません。実際に臨床の場で、花粉症治療に携わる医療関係者に、飛散情報が十分届いているかというと、不十分と言わざるを得ません。このように重要な作業が、検査として認められることもなく、また健康保険の適用がないのは、不思議と言わざるを得ません。
当院の花粉情報は、このような考えから,発しています。是非、参考にして下さい。
私が慈恵医大で兼子 順男先生(保谷市東伏見)のご指導により、花粉の観測を始めたのは、昭和59年でした。そして当院のHPは、下記のように始まりました。過去毎年1月1日からスギ花粉飛散終了まで毎日、当初は郵便で、PC導入後は連日発信、更新して参りました。今日まで41シーズンのデータをお送りいたしました。令和2年から一年を通じて、観測を続け、発信しております。最近は、年間を通じて観測することによって、新たな知見が数多く見出されており、年間を通じた観測の必要性を痛感しています。しかし、私も今年で78歳になり、体力的に厳しくなってまいりましたので、今シーズンから1月は週1回、2月1日から飛散終了まではスギ、ヒノキ花粉飛散情報として毎日、以後は週1回花粉情報として、観測結果をお届けいたします。どうかご了承下さい。
発熱や咳などの風邪症状で受診される場合は、ご来院いただく前にお電話(03-3491-2822)でお問い合わせ下さいますようお願い申し上げます。
当院では、東京都内(品川区 五反田)で顕微鏡下で計測した花粉飛散数、および花粉情報など試験的に提供しています。1984年から観測は開始しており、例年2月〜4月のスギ・ヒノキ花粉数を計測しています。
2024年10月9日 インフルエンザワクチンの接種開始しました。ご希望の方は、お電話でのお問い合わせ、あるいは診察時にご相談下さい。
2021年10月29日 予約制を導入しました。ご予約は、窓口または電話03-3491-2822(月〜金曜日の午後2 時から午後7 時)でお願いします。
ご予約を優先とさせていただき、より待ち時間の無い診療を心掛けて感染対策をして参りますので、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。病状に応じて、前後する場合があります。
2024年3月25日 日本経済新聞社に、花粉観測に関して情報提供をさせていただきました。
2024年6月1日 保険医療機関のおける掲示
2020年4月29日 「オンライン診療ついて」まとめました。LINEによる診療を当院再診患者様に対して開始しました。
2018.1.18 東京都花粉症患者実態調査について