日: 2025年3月12日

2025年3月12日(水)-6 花粉情報

3月です。前項でも述べましたように、1〜2月とは風向きをはじめ天候が変わります。今週の品川区の気象予報によりますと、以下のような予報となっています。

日付 最高気温 最低気温 天気 花粉飛散予測 実測値(品川)
3月 1日 17.0 8.0 晴れ 非常に多い 52.8
   2日 19.0 9.0 晴れ時々曇り 極めて多い 100.6
   3日 6.0 6.0 雨一時雪 少ない 208.3
   4日 8.0 2.0 曇りのち雨 少ない 16.4
   5日 8.0 2.0 雪のち雨 少ない 0.0
   6日 14.0 8.0 曇り 多い 84.3
   7日 11.0 3.0 晴時々曇り 多い 42.0
   8日 8.0 2.0 曇り時々小雨〜晴 多い 20.4
   9日 5.0 4.0 曇り〜雨〜雪 非常に多い 4.6
  10日 13.0 1.0 晴れ一時雪 極めて多い 49.7
  11日 14.0 7.0 曇り〜雨 非常に多い 22.5
  12日 14.0 9.0 曇りのち雨 非常に多い
  13日 20.0 11.0 曇り時々晴れ 非常に多い
  14日 19.0 8.0 晴れ 極めて多い
  15日 15.0 6.0 晴のち曇り やや多い
  16日 9.0 8.0 曇り時々雨 少ない
  17日 12.0 8.0 曇時々晴 極めて多い

天気はNHK、花粉飛散予測は、日本気象協会から。

昨日は、天候の割に飛散が少なかったのですが、スギ花粉はある程度気温が高(10度前後)くないと開花しないようで、

昨日の気温では、午前中ほとんど飛散はありませんでした。本日は、予想通り多くの花粉が飛散すると予想されます。本日、飛散花粉は、午後に集中したようです。午後だけで49.7個/cm2でした。患者の皆さんも、「午後から悪化した」と訴える方が少なくありませんでした。本日も予測に反して比較的少ない飛散花粉でした。


2025年3月12日(水)-5 花粉情報

さて、ここまでのお話から、飛散花粉数のみでは、局地のことしか判明せず。患者様の行動範範囲をカバーすることは、到底無理と解釈できます。広範な計測結果を、天気図の様な方法で、作ることは出来ないものか、と思いあぐねます。そこで、日本における観測地点について、大まかですが、調べました。

現時点で判明している飛散開始日

地点 飛散

開始日

地点 飛散

開始日

1北海道札幌市   3同相模原市西区 po
1青森県弘前市   4山口県山口市 2/16
1岩手県大船渡市 2/27 4山口県岩国市 2/16
1山形県山形市 2/27 4山口県宇部市 2/14
1栃木県壬生町 2/26 4山口県長門市 2/11
1埼玉県さいたま 2/25 4山口県岩国市 2/16
1.東京都千代田 2/15 4山口県柳井市 2/17
1神奈川県横浜市 2/13 4山口県柳井市 2/16
1石川県小松市 2/27 4山口県大島 2/16
1山梨県甲府市 2/15 4山口県光市 2/16
1岐阜県大垣市 2/16 4山口県防府市 2/16
1静岡県静岡市 2/12 4山口県防府市 2/16
1三重県津市 2/17 4山口県山口市 2/17
1京都府京都市 2/27 4山口県小郡市 2/16
1大阪府泉佐野市 2/25 4山口県宇部市 2/16
1兵庫県西宮市 2/26 4山口県小野田市 2/16
1奈良県奈良市 3/3 4山口県下関市 2/16
1和歌山県橋本市 2/25 4山口県美祢市 2/16
1鳥取県米子市 2/25 4山口県長門市 2/11
1広島県尾道市 2/25 4山口県長門市 2/15
1山口県山口市 2/16 4山口県萩市 2/15
1香川県三木町 3/3 4山口県萩市 2/15
1愛媛県松山市 2/25 5大阪府高槻市  
1福岡県福岡市 2/14 5大阪府枚方市 2/26
1熊本県八代市 2/17 5大阪府守口市 2/28
1宮崎県宮崎市 2/3 5大阪府寝屋川 2/26
2東京都葛飾 2/16 5大阪府茨木市 2/26
2東京都杉並 2/15 5.大阪泉佐野市 2/26
2東京都北 2/24 5大阪藤井寺市 3/2
2東京都太田 2/15 6長崎県長崎市 〜2/21
2東京都青梅 2/13 6長崎県佐世保 〜2/21
2東京都八王子 2/14 6長崎県諫早市 ~2/21
2東京都多摩 2/14 7福井県福井市 2/28
2東京都町田 2/14 7福井県堺市 2/17
2東京都立川 2/14 7福井県鯖江市 2/28
2東京都府中 2/12 7福井県敦賀市 2/26
2 東京都小平市 2/14 9兵庫県洲本 2/25
3神奈川県厚木市 1/7 9兵庫県加古川 2/25
3同横浜市金沢区 2/12 10千葉県銚子市 2/17
3同横浜市西区 po 11千葉県富里市 2/12
地点 飛散

開始日

地点 飛散

開始日

11千葉県習志野 2/15 28同稚内市 未測定
12東京都保谷市 2/16 29福岡県北九州 不明
13東京都品川区 2/16 29同筑豊 不明
14静岡県富士 2/12 29同筑後 不明
14静岡県清水 2/12 30佐賀県佐賀市 不明
14同静岡駿河区 2/3 30同唐津市 不明
14同葵区 2/12 30同三養基郡 不明
14同浜松市 2/10 31長崎県長崎市 不明
15青森県青森市   31同佐世保市 不明
15同八戸市 2/17 31同諫早市 不明
15同弘前市   31同対馬市 不明
15同むつ市   31同島原市 不明
15同五所川原市   31同北松浦郡 不明
16秋田県大曲地区   31同福江市 不明
17日本気象協会 2/17 31同大村氏 不明
    32熊本県熊本市 不明
20神奈川県厚木市 1/7 32同玉名市 不明
21同金沢区 2/12 32同菊池市 不明
    32同八代市 不明
23岐阜県岐阜市 3/1 32同天草郡苓北町 不明
23同海津市   32同上天草市 不明
23同揖斐川市   32同山鹿市 不明
23同各務原市 2/20 32同菊池市大琳寺 不明
23同関市 2/16 32同阿蘇郡小国町 不明
23同美濃加茂市 2/16 32同人吉市 不明
23同郡上市 2/27 32同天草市 不明
23同多治見市 2/19 33大分県日田市 不明
23同中津川市 2/24 33同由布市 不明
23同高山市」   33同豊後大野市 不明
24滋賀県大津市 3/1 33同佐伯氏 不明
25長野県中信地域   33同津久見市 不明
26愛媛県松山市 2/25 33同宇佐市 不明
27愛媛県新居浜市 2/16 33同臼杵市 不明
28北海道札幌市 未測定 33同国東市 不明
28同函館市 未測定 33同別府市 不明
28同岩見沢市 未測定 33同大分市 不明
28同旭川市 未測定 34宮崎県宮崎市 不明
28同帯広市 未測定 34同延岡市 不明
28同北見市 未測定    

 

 

地点 飛散

開始日

地点 飛散

開始日

34同都城市 不明 41同久慈市  
35鹿児島県薩摩郡 不明 41大船渡市  
35同曽於市 不明 41奥州市 po
35同鹿児島市 不明 42秋田県能代市  Po
35同肝属郡 不明 42同大館市 po
36島根県出雲市 2/10 42同鹿角市 Po
36同雲南市 2/3 42同男鹿市 po
36同松江市 2/1 42同阿仁市 po
36同六日市市 2/4 42同秋田市 po
36隠岐の島町 1/29 42同田沢湖 po
36同大田氏 2/2 42同由利本庄 po
37広島県尾道市 2/26 42同大山市 po
38兵庫県宝塚市 3/34 42同湯沢   po
38同龍野 2/25 43新潟県南魚沼市  
38同豊岡   43同県立吉田病院 2/27
39福井県福井市 2/28 44福島県二本松市 2/27
39同永平寺市   45千葉県11ヶ所 po
39同勝山市   22埼玉県さいたま市 2/16
39同坂井市 2/25 22同加須市 po
39同鯖江市 2/28 22同寄居 po
39同敦賀市 2/26 22同秩父  Po
40富山県黒部市 Po 22同熊谷 po
40同富山市藤木 po 22同坂戸 Po
40同富山市森 Po 22同飯能 po
40同富山市呉羽 po 22同川越 po
40同富山市婦中 po 22同所沢 po
40同射水市 po 22同久喜 po
40同高岡市 po 22同春日部 po
40同氷見市 po 22越谷 po
40同砺波市 po 46石川県加賀市 不明
41岩手県盛岡市   46同小松市 不明
41同北上市   46同金沢市 不明
    46同金沢市 不明
    46同七尾市 不明
    46同白山市 不明
       

PO:ポーレンロボによる計測

 

  1. NPO花粉情報協会HP:花粉いんふぉ
  2. 東京都保険医療局:東京都アレルギー情報
  3. 神奈川県自然環境保全センター
  4. 山口県医師会:県内20ヶ所で測定(山口大学、周東総合病院、済生会山口総合病院など)
  5. 大阪医科薬科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科HP:4ヶ所
  6. 長崎県医師会:8ヶ所
  7. 福井県衛生環境研究センター:4ヶ所
  8. 青森県花粉情報研究会:5ヶ所
  9. 兵庫県立健康科学研究所 保険医療部:5ヶ所
  10. 銚子市立病院
  11. 佐橋 紀男先生担当
  12. 兼子 順男先生担当
  13. 遠藤 朝彦担当
  14. 耳鼻咽喉科静岡県地方部会会員有志:5ヶ所
  15. 青森県花粉情報研究会:5ヶ所
  16. 大曲厚生医療センター
  17. 日本気象協会新潟支店
  18. 銚子市立病院
  19. 埼玉県保険衛生局
  20. 神奈川県自然環境保全センター
  21. 神奈川県保険医協会
  22. さいたま市健康科学研究センター
  23. 岐阜県耳鼻咽喉科花粉情報システム
  24. 滋賀医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座
  25. みのしまクリニック
  26. 松山耳鼻咽喉科会(中国四国空中花粉研究会)
  27. 十全総合病院
  28. 北海道立衛生研究所
  29. 〜35福岡県医師会

36.島根大学医学部付属病院

37広島県尾道市

38兵庫県立健康科学研究所

39福井県衛生環境研究センター

40富山県医師会

41岩手日報

42ウェザーニュース

43魚沼基幹病院

44安達医師会

45ウェザーニュース

46石川県医師会

北海道はスギ、ヒノキは少ないようですが将来に備えて観測は行なっています。ネットで簡単に調べただけで、全国では216地点あり、それ以上で観測が行われているのは確実のようです。これらに情報を合わせて分析すれば、花粉の流れが分析でき、治療に新たな展開が開けるように思われます。また、これだけ多くの方が関わっているのに医療保険に適応がないというのも納得できません。飛散花粉の観測は、花粉症治療上の根本あるいは治療の命脈とも考えられます。花粉観測に対して医療保険の適応はできないのでしょうか?

この調査は、まだ終わっていません。判明次第加筆します。


2025年3月12日(水)-4 花粉情報

飛散開始日、本格飛散開始日(20個/cm2以上になった日)

飛散開始日 積算400℃

到達日

本格飛散

開始日

最大飛散日 同年飛散総
H26(2014) 2月03日 2月07日 3月04日 3月21日 1993.4
H27(2015) 2月11日 2月10日 2月23日 3月10日 2938.1
H28(2016) 2月14日 2月08日 2月21日 3月09日 4184.6
H29(2017) 2月16日 2月06日 2月17日 3月07日 2570.7
H30(2018) 2月10日 2月12日 2月24日 3月04日 8057.4
H31(2019) 2月12日 2月07日 2月20日 3月22日 6199.4
R2(2020) 2月05日 2月05日 2月13日 2月23日 2841.6
R3(2021) 2月11日 2月06日 2月14日 2月23日 4567.3
R4(2022) 2月26日 2月12日 2月27日 3月16日 5172
R5(2023) 2月12日 2月08日 2月18日 3月02日 7862.7
R6(2024) 2月13日 2月11日 2月15日 3月02日 6300.2
R7(2025) 2月16日 2月04日 2月27日    

今年は、積算温度400℃に達したのは、2月4日で、2001年以来最も早く到達しました。ところが、その後寒波の影響で気温が下がり、しかも寒波は結構、日本に止まり、飛散開始は比較的遅い16日になりました。最大飛散日は、もうしばらく先と思われます。


2025年3月12日(水)-3 花粉情報

兼子 順男先生(保谷市東伏見)からも観測値をいただきました。やはり、飛散量が当地とは大きく違うようです。

過去のデータの分析では、保谷市と当地の飛散数は、比較的近似したパターンでしたので、当地に飛来する花粉は、群馬や埼玉で放出された花粉が、北風に乗って都下を横切り、多摩川に沿って飛散する流路があるようです。保谷市と当地の飛散数が驚くほど違うのは、風による花粉の流れが大きく影響していると考えられます。

ダーラム型(個/cm2)

3   天気 スギ花粉 ヒノキ花粉
1 86.6 0.0
2 221.3 0.0
3 雨雪 138.3 0.0
4 曇雨雪 38.3 0.0
5 1.0 0.0
6 679.0 0.0
7 149.6 2.3
8 曇雨雪 28.0 0.3

2月16日飛散開始。飛散開始後、大小はありますが、多くの飛散が続いています。


2025年3月12日(水)-2 花粉情報

:2月下旬からスギ花粉の飛散が始まり、すでに3月も11日になりました。昨年同期のスギ花粉は、佐橋 紀男先生や兼子 順男先生のところと飛散数が、ほぼ同じ傾向で推移しましたが、今年は大きく異なっています。例えば、3月1日から8日の飛散数は、富里市3045.5個/cm2、保谷市1342.1/cm個に対して、当地は、僅か526.9個/cm2に過ぎません。この相違は、花粉放出源の違いの他に、気象条件とりわけ風速、風向影響と考え、調べてみました。

富里市:ダーラム型(個/cm2)

3月 スギ ヒノキ イチイ属 ハンノキ属 シデ属 マツ属 イネ科 スゲ属 その他
1 532.7 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
2 1221.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
3 155.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
4 250.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
5 34.6 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
6 489.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
7 266.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
8 96.6 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

 

富里市:ロータリー型

3月 スギ ヒノキ イチイ属 ハンノキ属 シデ属 マツ属3) イネ科 スゲ属 その他
1 834.6 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
2 1886.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
3 124.1 0.0 0.0 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
4 249.7 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
5 49.7 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
6 454.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
7 575.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
8 117.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

 

習志野市:ダーラム型(個/cm2)

2月 スギ1) ヒノキ2) イチイ属 ハンノキ属 シデ属 マツ属3) イネ科 スゲ属 その他
20 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
21 2.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.3 0.0 0.0 0.0
22 3.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
23 1.7 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
24 1.5 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
25 45.4 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
26 61.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
27 41.7 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
28 267.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

昨年同期には、3地区とも、ほとんどの日が北寄りの風でした。今年同期も、保谷市、富里ともに北風、ところが当地は、昨年は北風が多く、今年は南寄りの風が多いという天候でした。当地は発生源は少なく、前項の結果は、当地に飛来する花粉の、発生源が昨年と今年で異なったようです。


2025年3月12日(水)-1 花粉情報

2月の測定数とシーズンの総数の関係(2016年以後)

2月の測定数とシーズンの総数の関係(2001年以後)は下表の通りです。

年 度 ス  ギ ヒ ノ キ そ の 他 スギ・ヒノキ

総飛散数

2016年 473.8 2.1 21.6 4184.6
2017年 389.7 0.3 22.9 2570.7
2018年 341.3 3.3 12.8 8057.4
2019年 811.2 0.0 20.6 6199.4
2020年 1412.0 0.0 23.4 2841.6
2021年 445.7 3.0 27.5 4567.3
2022年 57.3 0.0 10.0 5172.0
2023年 1129.3 16.5 27.7 7862.7
2024年 900.6 5.6 33.9 6300.2
2025年 65.4 0.0 14.8

2月は、主にスギ花粉が飛散、ヒノキはほとんど観測されず、その他の花粉も少ない傾向にあります。今年は2022年(57.3個/cm2)に次いで少数でした。2月に襲来した強い寒波が影響したようです。2月少数すなわち総数が少ないと言うわけでもありません。3月は要注意です。さて当地は、3月の出だしは、スギ花粉も比較的おだやかに飛散しており、患者の皆さんの症状も酷い方はいません。とはいえ、これからピークに向かいますので、油断しないでください。