日: 2025年5月13日

2025年05月13日(火)-4 花粉情報

過去3年間の5月の観測結果

令和6年5月 令和5年5月 令和4年5月
スギ 1.5 1.5 2.4
ヒノキ 6.4 7.2 1.2
カバノキ科(ハンノキ、シラカンバオオバヤシャ)                2.4 64.6 12.6
ブナ科(コナラ、クヌギ、クリ、シラカシ他) 188.4 191.3 228.8
イネ科(イネ、カモガヤ、ガマ、ヒメガマ) 10.3 38.4 23.8
マツ型(アカマツ、クロマツ、トウヒ、ヒマラヤスギ) 142.5 269.0 224.8
ニレ科(ケヤキ) 7.7 0.0 53.0
イチョウ科(イチョウ) 0.0 22.5 5.4
クルミ科(テウチグルミ、オニグルミ) 0.0 0.0 0.6
バラ科(ソメイヨシノ) 0.0 3.7 19.4
マメ科(ギンヨウアカシア) 0.0 0.0 0.0
マンサク科(マンサク) 44.3 0.0 0.6
エゴノキ科(エゴノキ) 5.4 0.0 0.0
ミズキ科(ミズキ) 25.0
その他 145.9 238.4 142.0
570.0 836.6 714.6

5月の花粉の観測数です。マツ科、ブナ科の花粉が多く観測されました。両者とも、花粉症の報告があります。連休が明けても、症状の続く方は、これらが原因の可能性があります。


2025年05月13日(火)-3 花粉情報

花粉観測は、私が行い、当HPは、「慈恵医大耳鼻科の花粉症のページ」として、1997年2月1日に故今井 透先生が立ち上げ、2014年1月7日までに558万件のアクセスがありました。このHPについて今井先生はASAHIパソコン2001.4.1におけるインタビューにおいて、以下のように答えています。

今井先生の回答から
1.品川の飛散データは、毎晩午前零時(現在は午後10時)に、24時間分の花粉量を測定して朝ファクスで結果を   送ってくれる奇特な耳鼻科医の方(小生のことです)が品川におられるとのこと
2.花粉症の患者様が20歳から40歳代と比較的若いことがインターネット利用につながっている
3.ホームページは大学の公式ページではあるが、実質は今井先生1人でやっている。したがって何かの都合で今井先生ができなくなったら、誰も引き継いでくれないと思う。と述べていますが、「いえいえ立派に今でも引き継がれています。」
4.耳鼻科医にとって一番忙しい季節ではあるが、今シーズンは100万ヒットを突破しそうな勢いなのでこれも励みになっている

と語っております。

このHPは、「東京都内の花粉症のページ」として永倉耳鼻咽喉科アレルギークリニックのHP、に、以後当院のHPへと引き継がれています。当院のHPは東京都と地域を限定していますが、今日まで950387件のアクセスがあり、先生の「誰も引き継いではくれない」というご心配はありません。安心してお休み下さい。花粉観測は、私が1984年から41年、現在も続けています。しかも、現在は春だけでなく、年間を通じて無休で観測しています。

 


2025年05月13日(火)-2 花粉情報

昨年もご紹介いたしましたが、「何故、都心の当地でこれ程多くの様々な花粉が観測されるのか?」についてご紹介したいと思います。

周囲をビルに囲まれた当地では、飛散花粉の種類は限られ、飛散花粉は少なく、限られた花粉しか観測されないと予想していましたが、いざ当地で花粉を観測いたしますと、驚くほど多種多様な花粉が観測されました。この多様さは想像を超えていましたので、少し周辺を調査してみました。たとえば、近隣の3公園、林試の森公園(東京都公園協会管理)にはクス、アカガシ、ケヤキ、プラタナス、ラクウショウ、アベマキ、ホウチャクソウ、カントウタンポポなどがあり、自然植物園(国立科学博物館付属)には、主にシイ松、コナラ、落葉樹などですが、同園の武蔵野植物園にはジロボウ、エンゴサク、アマナ、カタクリ、シュンラン、ヤマユリ、ツリガネニンジンヌスビトハギ、シラヤマギク、タイアザミなど野草類が見られ、水生植物園にはハンノキ、ノハナショウブ、ショウブ、ノカンゾウ、コハギボウシミソハギ、ツリフネソウ、ヒメガマ・ヨシなどの植物が、路傍植物園にはフクジュソウ・ ニリンソウ・イチリンソウ・タチツボスミレ・ヤ マブキソウ・イカリソウ・エビネ・フタリシズ カ・マンリョウ・ウバユリ・キチジョウソウ・ ヤブレガサ・イヌショウマなど多くの植物が見られます。 東京都庭園美術館にはシイノキ、ネズミモチ、モミジ、ミツバツツジ、サクラ、イマヌキ、キンモクセイ、モッコク、ヒラヤマシーダー、ヒサカキ、リュウノヒゲ、サザンカ、ビワ、ツバキ、アジサイ、イチョウ、コブシ、ケヤキ、アヤメ、シラカシ、イイギリ、カキ、ボタン、モチノキ、アカマツサツキ、ウメ、クマササ、サルスベリ、シャクヤク、スイセン、ヤナギ、ヤマモモなどがみられます。これらの植物が常に花粉を放出する訳ではなく、主に4〜5月に花粉を飛散するのは、太字の植物ということになります。さて、当地周辺の公園がどのくらい有るかと言うと、以下の通りです。

当地周辺(品川区、世田谷区、目黒区、大田区、港区だけ)には、1676もの公園があり、その面積は913809145m2になります。当地の周辺において多種多様な花粉が観測されても、何ら不思議ではないようです。例えば港区の公園数は18位ですが、面積は11位です。公園数は、23区中2位世田谷区、3位大田区、10位品川区、17位目黒区、18位港区です。面積は4位大田区、5位世田谷区、11位港区、12位品川区、21位目黒区でした。面積では、目黒区以外は、区部の上位にランクされます(令和4年4月1日東京都公園調書より)。

これまで長期にわたり、スギ、ヒノキのみを追いかけてきました、そして、スギ、ヒノキ以外の花粉は、「その他の花粉」として報告していました。ところが、調べていくと、私が鏡検で種別を明確にできない花粉が極めて多いことが判明し、実測値と患者様の症状が一致しない方が、出てくることが不思議ではなくなりました。診療所に来院する全ての患者様に均等にあるいは公平で漏れのない対応ができるようにするためには、スギ、ヒノキ以外の花粉のデータが是非とも必要であると痛感いたしました。

これまで長期にスギ、ヒノキのみを追いかけてきましたが、ここ7年は年間を通じた観測を実践しています。しかしながら、前文でも述べましたように、コンクリートジャングルと呼ばれる都心でも、観測される花粉は無数に近く、今後経験を重ねなければ実際に近い計測とならないと考えて日々努力を重ねています。


2025年05月13日(火)-1 花粉情報

5月2日兼子 順男先生から、「4月で計測を終了しましたので、今年最後の花粉情報を送ります。これまでの計測データのまとめも添付しました。兼子順男」とのメールをいただきました。

 

4月合計   46.6 153.1
3月合計   4774.6 752.0
2月合計   330.7 0
2・3・4月合計   5151.9 905.1

 

兼子順男先生

勤務医時代からのご指導に感謝すると共に、先生の地域のスギ、ヒノキ花粉の観測データをご提供くださり、誠にありがとうございます。数少ない貴重なデータで有ることに間違いありません。当地の観測数と合わせることにより、新たに多くのことが判明しました。例えば、保谷市は当地へのスギ花粉の飛散流路となっている可能性が高いため、2月〜3月の観測数が保谷市と当地(品川区)で、極めて近似した飛散パターンを示します(数は保谷市が多い)。4月は風向が変わり(北風から南風)、両地の飛散パターンが大きく変わります。これらは、今後に大変貴重なデータとなると確信しております。心から感謝申し上げるとともに、先生の長年に渡る御努力に最大限の敬意を評します。

遠藤 朝彦

連休中は、当HPのアクセス数が大幅に減少します。そのため御礼をやや遅い今日にいたしました。