2025年3月22日(土)-1 花粉情報
保谷市東伏見や千葉県富里市は、スギ花粉が大量に飛散しているようです。東京都でも区部、都下を問わず極めて多くの花粉が記録されています。それにひきかえ当地は、観測数が明らかに少数でした。今シーズンは、染色をグリセリンゼリーに変えましたが、もしかグリセリンゼリーは捕集率が低い可能性があるのではないかと考え、試しにカルベラ液による染色でカウントして見ました。するとスギ花粉の観測数は、20.1個/cm2、グリセリンゼリーによる染色では、5.6個/cm2でしたので、なんとその差は3.6倍でした。これは無視できる数値ではありません。そこで、19日から検証を始めました。再検初日(14日分)、スギ300.0個/cm2、ヒノキ11.4個/cm2でした。出鼻をくじかける観測数でした。そので日毎にカウントする場所を交互に変えて観測、結果を比較しました。10日間の比較は以下の通りです。
カルベラ液とグリセリンゼリーの相違
日付 | カルベラ液 | グリセリンゼリー | 差異 |
3-20 | 26.2 | 8.3 | 3.2 |
3-19 | 21.0 | 9.6 | 2.2 |
3-18 | 20.1 | 5.6 | 3.6 |
3-17 | 193.5 | 40.7 | 4.8 |
3-16 | 16.7 | 20.4 | 0.8 |
3-15 | 164.8 | 55.9 | 2.9 |
3-14 | 300.0 | 72.2 | 4.2 |
3-13 | 217.0 | 160.8 | 1.4 |
3-12 | 0.6 | 0.3 | 2.0 |
3-11 | 25.6 | 22.5 | 1.1 |
平均2.6倍 今後プレパラート上の測定位置を変えて比較
なんと平均約2.6倍の測定値に差が認められました。カルベラ液による染色、測定ですと、例年通り兼子 順男先生や佐橋 紀男先生の測定結果とほぼ一致し、例年通りです。染色を変えても測定値は変わらないと判断した、私のミスです。心からお詫びして訂正いたします。グリセリンゼリーによる染色は、花粉の捕捉率がかなり低いようです。本日、ご報告いたします測定値は。全てカルベラ液にて染色、鏡検して修正したものです。他地区との比較や過去のデータとの整合性という意味でも、大事なことと認識しました。
こうした分析も詳細な測定結果があって、はじめて可能になります。染色法で測定値が変わることなど、文献には全く記載はありませんでした。また、今後、自動計測機にはそれなりの精度が求められることになります。自動計測を信じ込むのは危険です。故障や機器が停止した場合のバックアップは絶対に必要です。また、異なる方法で検証が必要なことも言うに及びません。今後、さらに検証結果をご報告いたします。