2025年05月12日(月)-2 花粉情報
昨年もご紹介いたしましたが、「何故、都心の当地でこれ程多くの様々な花粉が観測されるのか?」についてご紹介したいと思います。
周囲をビルに囲まれた当地では、飛散花粉の種類は限られ、飛散花粉は少なく、限られた花粉しか観測されないと予想していましたが、いざ当地で花粉を観測いたしますと、驚くほど多種多様な花粉が観測されました。この多様さは想像を超えていましたので、少し周辺を調査してみました。たとえば、近隣の3公園、林試の森公園(東京都公園協会管理)にはクス、アカガシ、ケヤキ、プラタナス、ラクウショウ、アベマキ、ホウチャクソウ、カントウタンポポなどがあり、自然植物園(国立科学博物館付属)には、主にシイ、松、コナラ、落葉樹などですが、同園の武蔵野植物園にはジロボウ、エンゴサク、アマナ、カタクリ、シュンラン、ヤマユリ、ツリガネニンジンヌスビトハギ、シラヤマギク、タイアザミなど野草類が見られ、水生植物園にはハンノキ、ノハナショウブ、ショウブ、ノカンゾウ、コハギボウシミソハギ、ツリフネソウ、ヒメガマ・ヨシなどの植物が、路傍植物園にはフクジュソウ・ ニリンソウ・イチリンソウ・タチツボスミレ・ヤ マブキソウ・イカリソウ・エビネ・フタリシズ カ・マンリョウ・ウバユリ・キチジョウソウ・ ヤブレガサ・イヌショウマなど多くの植物が見られます。 東京都庭園美術館にはシイノキ、ネズミモチ、モミジ、ミツバツツジ、サクラ、イマヌキ、キンモクセイ、モッコク、ヒラヤマシーダー、ヒサカキ、リュウノヒゲ、サザンカ、ビワ、ツバキ、アジサイ、イチョウ、コブシ、ケヤキ、アヤメ、シラカシ、イイギリ、カキ、ボタン、モチノキ、アカマツ、サツキ、ウメ、クマササ、サルスベリ、シャクヤク、スイセン、ヤナギ、ヤマモモなどがみられます。これらの植物が常に花粉を放出する訳ではなく、主に4〜5月に花粉を飛散するのは、太字の植物ということになります。さて、当地周辺の公園がどのくらい有るかと言うと、以下の通りです。
当地周辺(品川区、世田谷区、目黒区、大田区、港区だけ)には、1676もの公園があり、その面積は913809145m2になります。当地の周辺において多種多様な花粉が観測されても、何ら不思議ではないようです。例えば港区の公園数は18位ですが、面積は11位です。公園数は、23区中2位世田谷区、3位大田区、10位品川区、17位目黒区、18位港区です。面積は4位大田区、5位世田谷区、11位港区、12位品川区、21位目黒区でした。面積では、目黒区以外は、区部の上位にランクされます(令和4年4月1日東京都公園調書より)。
これまで長期にわたり、スギ、ヒノキのみを追いかけてきました、そして、スギ、ヒノキ以外の花粉は、「その他の花粉」として報告していました。ところが、調べていくと、私が鏡検で種別を明確にできない花粉が極めて多いことが判明し、実測値と患者様の症状が一致しない方が、出てくることが不思議ではなくなりました。診療所に来院する全ての患者様に均等にあるいは公平で漏れのない対応ができるようにするためには、スギ、ヒノキ以外の花粉のデータが是非とも必要であると痛感いたしました。
これまで長期にスギ、ヒノキのみを追いかけてきましたが、ここ7年は年間を通じた観測を実践しています。しかしながら、前文でも述べましたように、コンクリートジャングルと呼ばれる都心でも、観測される花粉は無数に近く、今後経験を重ねなければ実際に近い計測とならないと考えて日々努力を重ねています。