2025年01月26日-1 花粉情報

数日前に、東京都で「スギ花粉が飛散開始した」とのニュースが流れ、昨日はあたかも花粉症が始まったかの如く、某医の診察風景が某テレビ局から放映されました。しかし、当地ではスギ花粉は飛散開始していません。東京都では都内12地点で花粉の観測を行なっていますが、花粉情報協会の飛散開始の規定をクリアしたのは、1地点(大田)のみであり、しかも開始したとされる地点でも、翌日から11日間スギ花粉は観測されていません。当然、他の11地点もほぼ0.0個/cm2です。スギ花粉の飛散開始日は、地域差が大きく、地域毎、例えば「東京の大田では」と言う表現で、公表しないと大きな誤解を生むことになります。花粉情報協会の規定でも、1月以降、1平方センチメートルあたり1個以上のスギ花粉を、2日連続して観測した最初の日を、その観測地点の「花粉の飛散開始日」としています。スギ花粉の飛散量も飛散開始の時期も気候の影響を受けますが、大量飛散(花芽の成長)が予想されるからと言って、飛散開始が早くなると言う傾向もありません。飛散量は前年夏、飛散開始は直前の冬の天候の影響を強く受けます。マスコミから正しい情報が流れるのは良いのですが、故奥田 稔先生(日本医大耳鼻科教授)も「われわれの鼻アレルギー研究の半世紀 2013」の中でマスコミの過剰な発信に懸念を表しています。

現在花粉症様の症状を訴えて来院される患者様が増えていると思いますが、ほとんどの患者様が乾燥冷気による乾燥性鼻前庭炎、乾燥性鼻炎です。スギ花粉症とは症状が異なり、「鼻水、鼻づまり」であり、花粉症は「くしゃみ、鼻水」が主な症状です。花粉症とは似て非なる疾患です。また、乾燥性鼻前庭炎、乾燥性鼻炎に抗ヒスタミン剤を投与するとかえって悪化する可能性もあり、もし感染性の鼻炎ならば効果はなく、治りません。症状のみで診断するのは危険です。ぜひ、問診ならびに検査をして検査所見から正しく診断し、正しい診断の基に治療を施してほしいと思います。患者様には、検査の時間をいただきたく、早めの受診をお勧めします。