2024年07月27日-4 花粉情報

ペットを飼いたいと思っている人は、病院での検査に加えて、実際に動物とふれあうという「お試し期間」を設けるとよいと思います。たとえば猫カフェや、ご友人などのお宅で実際にふれあってみて問題ないかを試すのもよいと思います。ひとつお伝えしたいのは、昔は大丈夫だった人が何年か後にペットアレルギーになるということもあります。そのメカニズムはケースバイケースで断定はできませんが、「実家で猫を飼っていて問題なかった方が、親元を離れて一人暮らしをして、しばらくして帰省したら猫と接してアレルギーが出た」というような例もあります。

全く症状が出なくなるということはないかもしれないんですけど、徐々に症状が穏やかになっていくことはあります。例えば、猫を飼い始めてすぐはひどかったんだけども、だんだんに慣れてきて症状が出にくくなることはあって、そういう状態を「脱感作」と呼びます。一方で、ペットを飼い始めたときは平気だった人が、あとでアレルギーになるということもあります。

完治させるような特効薬などはないんですけれども、基本的には対症療法が中心となります。くしゃみやかゆみには「抗ヒスタミン薬」、ぜんそくのような症状には「気管支拡張薬」の吸入をしたりとかですね、症状を和らげるのが一般的です。それぞれの症状に対して保険適用のある薬が通常処方されます。

症状が出てから薬を飲むのではなく、あらかじめそういうことが分かっている場合には、そういうお宅を訪ねる場合などに予防的に事前に薬を飲んでおくとよいかもしれません。たとえば、祖父母の家がペットを飼っていて、そこにペットアレルギーのある孫が遊びに行くときどうしたらいいかという相談などを私も外来で受けていて、事前にそういう薬を処方して飲んでいただいていることが多いです。

あとは、室内のアレルゲンの量を減らすっていうことが大切だと思うんですけれど。念入りな掃除、あるいは空気清浄器などもよいと思いますし、布製のアレルゲンが付着しやすいカーテンとか、あるいは布製品によるソファなども、できたらツルツルの合成皮革とか革製にするとよいと思いますし、じゅうたんなどもやはりフケが残ったりしますので敷かないほうがよくて、フローリングとかそういうのがオススメかなと思います。

あとは、ペットと触れ合ったら、服を着替えることなども非常に効果的だと思います。ペット自体も、犬なんかは可能であればシャンプーを比較的まめにするとよいかもしれません。ただ、猫などはシャンプーっていうのがなかなか、繰り返しするとストレスになってしまうので、ぬれたタオルで体を拭くとかブラッシングするとかですね、そういう対策でアレルゲンをできるだけ減らしていくようなことがよいと思います。

(海老沢 元宏 国立病院機構 相模原病院臨床研究センター長 日本アレルギー学会理事長:NHKジャーナルより)